梅雨の季節になると、曇りや雨が多く気持ちが晴れないですね。
そんな時期に、ひときわ鮮やかに花を咲かせるのが紫陽花やラベンダーです。
多くの方が美しく映える景観を求めて、全国の鑑賞スポットに足を運ぶのではないでしょうか。
そんな中、私が訪れたのは埼玉県嵐山町にあるあじさい寺と日本最大級のラベンダー園です。
埼玉県出身の筆者も知らなかった穴場スポットをご紹介します!
紫陽花と大銀杏の咲くお寺「金泉寺」
梅雨の時期において色鮮やかな花を咲かせる紫陽花は、心を癒してくれますよね。
日本全国に紫陽花の鑑賞スポットは数多く存在すると思いますが、関東近辺でいうと神奈川県鎌倉市にあります「長谷寺」や「明月院」が有名なのではないでしょうか。
私も幾度となく訪れたことがある紫陽花の名所です。
以前、鎌倉に紫陽花鑑賞に訪れた様子をご紹介していますので、詳しくはこちらをご覧になってください。
鎌倉は、季節や日本文化を色濃く感じることができる魅力的な観光地ですよね。
紫陽花で彩られた寺社仏閣がより美しく感じられます。
しかし、あまりに有名な鑑賞スポットがゆえに、どうしても混雑は避けられません……。
そんな中、埼玉県嵐山町(らんざんまち)にもあじさい寺があることを知り、さっそく現地に赴きました。
たどり着いたのは、埼玉県北部にあります「曹洞宗大龍山(だいりゅうざん)金泉寺(きんせんじ)」。
紫陽花と大銀杏の咲くお寺と称されるように、埼玉に建立するあじさい寺として知る人ぞ知る紫陽花の鑑賞スポットです。
- 住所:〒355-0206 埼玉県比企郡嵐山町越畑(おつばた)1121
- 電話:0493-62-3178
- 駐車場:有(無料)
関越自動車道の嵐山小川インターから、車でわずか5分の距離にありアクセスも悪くありません。
近くに高速道路が走っているにも関わらず、緑に囲まれたとても静かな場所でした。
数十台は停められると思われる広い駐車場でしたので、車で立ち寄ることも問題ないです。
ただ、金泉寺に近づくにつれて畑の中を走る細い道が多いので運転にはくれぐれも注意してくださいね。
紫陽花を鑑賞する前に、まずは本堂へご挨拶をしましょう。
紫陽花が並び、青空も相まって約400年の歴史を持つ本堂がとても美しく見えますね。
御本尊にご挨拶・お願い事を済まし、御朱印をいただきます。
金泉寺では、その場で御朱印を書いてもらうのではなく、あらかじめ書かれたものをいただく形です。
お賽銭箱の横には、かわいらしいお地蔵様。
お願い地蔵尊といい、金泉寺入り口に並ぶお地蔵様に自らのお願い事を込め、納める方も多いようですね。
大小合わせ5,500株の紫陽花園
金泉寺の紫陽花園は、現住職さんが約40年前より山林の手入れを行い、紫陽花を始め多くの樹木を植樹されてきたものです。
長年に渡り、丁寧に育て上げた山林には大小合わせて、5,500株の紫陽花が花を咲かせることができるようになりました。
「お寺を訪れてくださる多くの皆様が少しでも、お心を癒していただければ」というご住職の思いが綴られています。
紫陽花を見る上で花の美しさだけでなく、このような思いをしっかり受け止めなければいけませんね。
とてもきれいに整備された境内を横目に、山林に咲く紫陽花スポットを目指します。
最初に目に飛び込んできたのは、新緑の中に映える青色の紫陽花。
訪れた日は、天気に恵まれたようで太陽の日差しを浴びた、紫陽花の色合いがより一層美しく見えます。
ところで、みなさんは紫陽花の花がどのようなものかしっかり観察したことはありますか?
一見、大きめの花びらの集合体のように思える紫陽花ですが、種類にはよるものの花びらのように見える大きな4枚は「がく」と呼ばれる装飾花の部分です。
装飾花とは、蜂などの訪花昆虫を誘引するための構造のみが発達しており、生殖器官としての花の機能は失われています。
よーく見ると、花の中にさらに小さな花が見えるはず。
それこそが実際の花「真花」と言われています。
このように、いくつもの株が群生している様子を観察するのもきれいなのですが、注意深く見るととても繊細な花なのだなと感じますよね。
さらに歩みを進め、遊歩道として整備された山道を歩いていくと、多くの種類の紫陽花を目にすることができます。
なんと約100種類もの紫陽花が植えられているそうです。
綺麗な紫陽花を眺めながら、日が差し込む山林を散歩するのはとても気持ちいいですよ。
やや急な坂道にもなっていますが、それぞれ特徴ある紫陽花に目を奪われてしまいます。
気が付いたら、本堂を見下ろせるくらいに山道を登ってきたようです。
しかしながら、注意しておいた方がよいことが1つあります。
遊歩道として整備されているといっても山道なので、歩く際には靴を履くようにしましょう。
私は、天候と気温の上昇もありサンダルで歩いた結果、砂ぼこりが舞い足元がまっくろでした……。
多くの種類の紫陽花を堪能できる金泉寺ですが、2019年は雨が非常に少なく、花芽が少ない株が目立つようです。
これも自然の事なので、仕方がないですね。
金泉寺では、ホームページ上で開花状況を写真も添えて教えてくれていますので、確認した上で訪れるのもいいのではないでしょうか。
天候や場所、紫陽花の種類によっては咲くタイミングも異なるので、様々な景色を拝ませてくれることだと思います。
アジサイを愛でながら説法を受ける
金泉寺の山林にはもう1つ特徴があり、紫陽花を鑑賞しながら歩いていると説法を受けてるが如く、仏様の言葉をいくつも目にすることができます。
元来、説法とは出家者の方から仏の教え(法)を説き伝えていただくものかと思いますが、このようにお寺の敷地内で目にすることによって、自然と心に響いてきました。
私が、特に心に残った言葉がこちらです。
どうしても、嫌なことや苦しいことがあると避けてしまいたくなりませんか?
しかし、それを乗り越えられたときには必ず得るものがある。
自分の弱さを再認識すると共に、なにか奮い立たせてくれるような言葉に胸をうたれました。
説法の中では、同一の言葉でも聞き手の理解する能力の程度によって、理解する深さも違うと言われています。
みなさんは、どのようにこの言葉を受け取りましたか?
金泉寺の山林を散歩してみれば、いくつも仏様の言葉を目にすることだと思います。
自分の心にとまる言葉を探してみてください。
日本最大級のラベンダー園「千年の苑」
紫陽花を堪能し、次に向かった先は金泉寺から車を15分ほど走らせた先にある「千年の苑(せんねんのその)ラベンダー園」。
紫陽花と同じ時期に旬を迎えるラベンダーが、辺り一面を紫に染め上げる日本最大級のラベンダー園です。
- 住所:〒355-0225 埼玉県比企郡嵐山町鎌形2326
- 電話:0493-59-6671(嵐山町農政課)
- 駐車場:有(無料・有料)
- 開園期間:6月~7月
- 開花時期:6月上旬~7月上旬
ラベンダーが咲き乱れるこの土地は、その昔鎌倉武士の鑑とまで讃えられた畠山重忠公の居住地から見渡せる場所です。
また、冷酷な面を持つ源氏一族の中でも素朴で素直であり、心のきれいな木曽義仲公の生誕の地でもあります。
乱世は望まず、穏やかな世の実現を願っていたのだろうという想いを、当時から約千年の時を経た今美しい地を創るために「千年の苑」と名付けられたそうです。
少し歩くけど無料の駐車場、近いけど有料の駐車場のどちらがいい?
千年の苑には、無料の駐車場と有料の駐車場が設けられていました。
どちらにする?と考えれば言うまでもなく無料の駐車場ですよね。
それでは、それぞれの駐車場についてご案内したいと思います。
私は、嵐山町B&G海洋センターという公共のスポーツ施設の駐車場が無料で解放されていましたので利用してみました。
200台は停められる、広々とした駐車場です。
しかしながら、ラベンダー園までは10分程歩かなくてはなりません。
この他にも周辺に、計4か所の無料駐車場が設けられています。
駐車台数 | 入場時間 | |
---|---|---|
嵐山町B&G海洋センター | 200台 | 8:30~17:30 |
千手堂駐車場 | 100台 | 8:30~17:30 |
嵐山町総合運動公園 | 300台 | 8:30~17:30 |
鎌形駐車場 | 100台 | 8:30~17:30 |
4か所のうち、海洋B&Gセンターと嵐山町総合運動公園の駐車場は隣接しており、駐車可能台数も非常に多いので無料駐車場ではこの2か所がおすすめです。
それに対し、有料の駐車場はラベンダー園と道を挟んで反対側にある嵐山渓谷バーベキュー場の駐車場になります。
駐車台数 | 駐車料金 | 入場時間 | |
---|---|---|---|
嵐山渓谷バーベキュー場 | 200台 | 500円 | 9:00~17:00 |
こちらの駐車場は、ラベンダー園まで歩いて5分程でしょうか。
道路を渡らなければなりませんが、歩行者専用の通路もありましたので安全です。
結局、無料の駐車場と有料の駐車場どちらがいいのだろうと考えてしまいますよね。
無料の駐車場は距離がありますが、交通量の多い道路を歩くわけではありません。
それに対し、有料の駐車場は多少距離は近くなりますが、ラベンダー園に隣接しているわけではないので歩いて向かうことには変わらないということですね。
私が訪れたのは、平日でしたので駐車場の混雑はさほどひどくはありませんでした。
しかし、土日ともなると大勢の方が訪れる観光スポットなので、車で訪れる際には駐車場を確保することを第一に考えた方がよさそうです。
ラベンダー祭り開催
千年の苑では、ラベンダーの開花に合わせてラベンダー祭りが開催されています。
園内の一部にイベント広場を設け、ラベンダー摘み取りやラベンダースティック等の手芸体験、ご当地グルメやラベンダー商品が用意されていました。
- 開催期間:2019年6月8日(土)~7月7日(日)
- 開園時間:9:00~17:00(最終入場16:30)
- 休園日:ラベンダー祭り開催期間は無休
- 見学料:500円(中学生以下は無料) ※障害者手帳をお持ちの方は無料
それでは、さっそく入園チケットを購入しラベンダー園の中へ入りましょう。
入園の際の注意事項は以下のとおり。
- 園内は禁煙
- ペットはゲージに入れるか、リードにつなぐ
- ごみは持ち帰る
大勢の方が、ラベンダーの景色や香りを楽しみに訪れていますので、ルールはしっかり守りましょうね。
チケットを購入すると、パンフレットにポストカードが付いてきました。
このポストカードですが、鼻を近づけるとぶわっと抜けるようなラベンダー独特の香りがします。
約8ヘクタールの敷地に5万株のラベンダーが咲き誇る
入場口を抜けると、イベント会場を中心に見渡す限りのラベンダー畑が広がっていました。
公式HPより引用
園内に入る前から感じていたのですが、畑に近づくにつれてよりいっそう風に運ばれてくるようにラベンダーの香りを感じることができます。
広さは約8ヘクタールにもなり、広大な敷地に5万株のラベンダーが咲き誇る景色が素晴らしい。
8ヘクタールというと想像がつかないかもしれませんが、東京ドーム約2個分に相当するそうです。
見晴台もありますので、その広さを感じることができます。
見晴台に登ると、ラベンダーによって描かれた模様が見れるということでしたが明らかに高さが足りません……。
その他園内には、いくつもベンチが常設されていますのでラベンダーを眺めながらゆっくり時間を過ごすことができます。
淡い紫色が広がる光景と、ほのかに感じる香りでとてもリラックスムードです。
香料やドライフラワーに向くラベンダー
「ハーブの女王」と呼ぶにふさわしいラベンダーは、初夏にたくさんの花茎を伸ばして青紫色や白色の小花を穂状につけ、癒しの空間を与えてくれますよね。
ラベンダーにも、イングリッシュ系・ラバンディン系・ストエカス系・デンタータ系等の系統が存在します。
千年の苑で主に栽培されている品種は、ラバンディン系のグロッソやロングホワイトといった品種です。
グロッソは、香りが強くて甘いのでオイルを作る場合に好まれます。
特に、香料やドライフラワーに向いているようです。
樹高は花も合わせると80cmにもなるため、辺り一面に広がる青紫色がとても素敵な光景でした。
同じく、ラバンディン系のロングホワイトも初夏に長い茎を伸ばします。
青紫色の花を咲かせるラベンダーの中に、白い花を咲かせるロングホワイトがいいアクセントになっていました。
空にまっすぐ伸びるその姿からは、どことなく清楚な印象を与えてくれますね。
他の種類のラベンダーも植樹されていました。
現在でも広大なラベンダー園として知られてきておりますが、さらに種類や敷地を増やし文字通り日本最大級の名に恥じないラベンダー園として成長の最中のようです。
これから先も期待したいと思います。
摘み取り体験
ラベンダー祭りの開催期間中は、ラベンダーの摘み取り体験も行われています。
開催場所 | ラベンダー園内の指定場所 |
---|---|
摘み取り時間 | 1回20分程度 |
摘み取り制限 | 50~60本程度 |
体験料金 | 300円 |
ラベンダー祭りの開催期間中に毎日開催されている摘み取り体験は、来園した日のラベンダー畑の状況により摘み取るラベンダーの区画が変わります。
当日開催場所での受付のみとなっており、事前予約などはできません。
受付を済ますと、はさみとリングを受け取ります。
このリングに納まる本数まで、ラベンダーを摘み取ることが可能です。
職員の方に説明を受け、体験スタートです。
摘み取る際のポイントはというと、
- 花から1つ目の葉と2つ目の葉の間で摘み取る
- 花の状態は下の花が2、3咲いて上がつぼみがベスト
この花の状態が香りの成分がよく出ていて、いい状態のラベンダーだそうです。
いい状態のラベンダーを探しては摘み取り、探しては摘み取り……。
なかなか疲れる作業です……。
摘み取ったラベンダーは、ドライフラワーにすることによってそのまま飾っても、はさみで切って袋に入れて匂い袋にしても楽しめます。
ドライフラワーにする方法は非常に簡単で、最も定番なのは吊るして乾燥させる「ハンギング法」。
花を下に向けて吊るすだけなので、初心者でも簡単に作り上げることができます。
- 片手で持てるくらいの量のラベンダーを束にする
- 直射日光の当たらない、風通しの良い場所に数日間吊るして乾燥させる
- 茎がすぐに折れ、花もカサカサした状態になったら完成
たったこれだけで、いつまでもいい香りを漂わせてくれます。
ぜひ、作ってみてはいかがでしょうか。
ラベンダースティック教室
ラベンダースティック作りも体験してきました。
開催場所 | 園内特設テント |
---|---|
製作時間 | 1回30分程度 |
1回あたりの定員 | 10名~15名 |
体験料金 | 300円 |
火・木・土・日曜日の開催で、こちらも当日開催場所での受付のみとなっており、事前予約などはできません。
さっそくラベンダースティックを制作していきましょう。
準備されているのは、あらかじめ摘み取られたラベンダーを奇数本(今回は11本)と、リボン。
ラベンダースティックの作り方というと、
- ラベンダーを束にして、花穂の根本をリボンでしっかり結ぶ
- 花穂を包むように、放射状に茎を折り返す
- リボンと茎が交互になるように編んでいく
- 花穂が隠れるまで編んだら、残りの茎部分はリボンをらせん状に巻きつけていく
茎を折り返す作業までは、簡単に進められる作業です。
目の前で同じように進めてくれるので難しいこともありません。
しかし、茎とリボンを編んでいく作業が細かくて大変……。
制作時間の30分は、この作業が大半を占めるのではないか……。
それでも、丁寧に作業を進めて行けば初心者でもこんなに素敵なラベンダースティックが出来上がります!
花がこぼれず、非常に長く香りを楽しめちゃいます。
香りが弱くなったなと思ったら、モミモミして2~3年は持つそうです。
お部屋に飾ったり、洋服ダンスに入れておくのもいいかもしれませんね。
ラベンダー園の定番!ラベンダーソフトクリーム
イベント会場ではソフトクリームを始め、たくさんのグルメを堪能できます。
ラベンダー園に来たのだから、ラベンダーと名の付くものは食しておきたい。
ラベンダーを鑑賞にいくと、なぜか食べてしまうラベンダーソフトクリーム。
以前、群馬県にあります「たんばらラベンダーパーク」訪れた際も、食べていました。
こちらもブログでご紹介していますので、ぜひ見てください。
しかし、断然バニラの方が好きなんですけどね(笑)
ラベンダーの香りが口の中に広がり、さっぱりした味です。
そこまでおいしいわけではない(笑)
それにしても、看板の写真と現物が違い過ぎないか……。
次にいただくのは、最近話題にあがることが多いタピオカドリンク。
ここで売られていたのが、タピオカラベンダーソーダでした。
喉が渇いていたにも関わらず、ゴクゴクと飲めない程にクセが強い!
甘さはほとんどなく、ハーブ独特の香りとともに炭酸が口の中に押し寄せてきます。
ちょっと苦手なドリンクリストに入れておきたいと思います……。
その他、嵐山辛モツ焼きそばや、嵐山産の小麦を100%使ったうどん等のご当地グルメもあります。
ゆっくり座って食べるスペースもあるので、ぜひ食べてみてはいかがですか。
武蔵野うどん特有のコシがかなり強く、食感は力強くゴツゴツしている感じのうどんです。
つるりと食べられるうどんとは全く違うので、ぜひ食べてみてください。
イベントで出される素朴なうどんって、すごくおいしいんですよね。
寂しくぽつんとたてられた自動販売機や、お手洗いもありますのでゆっくり過ごすことができますよ。
私は気づいたら2、3時間経っていました(笑)
まとめ
今回は、私の地元埼玉県で梅雨の時期に映える紫陽花・ラベンダーの穴場スポットをご紹介させていただきました。
金泉寺では、見たことがないようなたくさんの種類の紫陽花を見ることができます。
広大な山林に植えられた紫陽花は、気持ちを穏やかにしてくれますね。
千年の苑は、まさしく日本最大級のラベンダー園と言っていいのではないでしょうか。
敷き詰められるように伸びるラベンダーによって、美しい景色と落ち着く香りに包まれてとても素晴らしい休日を過ごすことができました。
来年も訪れてみようと思える、素晴らしい観光スポットです。
動画でも公開してますので、ぜひご覧になってください。